目黒通りと Bob James

Bob James をかけながら目黒通りを流す昼下がり

BMW F30 320i Sport line のこと,車の趣味のこと

ずっと気になっていたFR(フロントエンジン,リア駆動)の車を手に入れた.BMW320iセダン,モデルコードでF30と呼ばれる,すなわち先代3シリーズである.3シリーズはMスポーツが人気であるが,私のは,スポーツライン,いわば素のモデルである.運転免許を取ってから30年以上経つが,これまで乗ってきた車は全てFFだった.FRは曲がりの流儀が違うという.ワクワクしながら乗ったF30スポーツラインのファーストインプレッションは,意外と変わらないな,というものと,やはりコーナリングは異次元だな,という相反する印象を併せもったものだった.考えてみれば,現代の車である.基本的な操縦安定性は確保しているのであり,普通に運転していれば,FFであろうとFRであろうと変わらないのだろう.ただし,コーナリングの印象は一言で言うと,ナチュラル,だ.FFのコーナリングは,コーナリングの初期が一番大事だと思っている.とにかくヨーのきっかけを掴むこと.これが大切だし,難しい.ステアリングを切り始めて回転運動が感知されるまでの時間帯は祈るような気持ちだ.いったん回転運動が始まってしまえば,後はアクセルを踏んでいける.私の乏しい経験の中では,最もナチュラルなコーナリングができるFFはホンダのアコード(CL7もしくはCL9)だ.アコードについてはまたいつか語ってみたいが,ナチュラルさ,と言うことでは,F30はあっさりアコードを凌駕してしまった.実に不思議な感覚だった.ステアリングを切った際,それまでの癖で回転運動が始まるのを一瞬待ってみる.すると,待つまでも無く,すでに回転運動に入っているのだ.その先は,FFでは,ステアリング操作によるコーナリングフォースと,加速駆動によるアンダーステアとでバランスを取りながら立ち上がっていくのだが,F30の場合は,コーナリングフォースが駆動力に食われることが無い.考えてみれば,FRなのだから当たり前なのだが.(コーナリング初期における,ヨーモーメントの発生がいつの間にか起こっている感じは実はランフラットタイヤであることも大きかったことが後にわかった.この話も別の機会にしよう.)

世の中に,車好き,と言う人は多い.車の趣味は,実に様々な要因で成り立っている.私は,ドライブが好きな方だが,ブランドとかに左右されないか,と言ったらそうでも無い.例えば,今回FRセダンが欲しくでBMWを手に入れたわけだが,では,マークXやクラウンでも良かったか,と言うとそう言う訳にはいかない.BMWというブランドに惹かれた側面があることも確かだ.ただ,それで良いと思っている.世の中にある車のメーカーとその歴史,それを取り巻く多くの人々の物語,それらが色々なメディア(本や雑誌やインターネットなど)を通じて,私,といういびつな個性の中に作る嗜好性,それが車の趣味なのだ.車にまつわる色々の事をいつも考えている.それらを言葉にしてみたい,と思った.それによって,趣味が少し深まってくれると良い,と思っている.